サプリって本当に必要?薬との違い・正しい続け方を医師が解説

2025.12.12

「サプリは本当に必要?」と感じている40〜60代の女性に向けて、薬との違いや正しい続け方、効果の出る目安、食事との関係、選び方のポイントまで、医師がやさしく解説します。サプリは病気を治すものではなく、健康維持を支える“体への貯金”。特に更年期以降は栄養の吸収力も低下しやすく、不調や疲れが気になる方にとっては大切なサポートになります。毎日を元気に過ごすためのインナーケアの基本を、わかりやすく丁寧にお届けします。

はじめに

忙しい日々のなかで「栄養、足りてるかしら?」と感じることはありませんか?特に40代以降の女性にとって、体調の変化や不調を感じる場面は少なくありません。そんなとき、頼りたくなるのが“サプリメント”。でも、実際のところサプリって本当に必要なのでしょうか?薬とはどう違うのでしょう?

fuwariでは11月14日(イイトシ)の「アンチエイジングの日」をきっかけに、日本美容内科学会理事長・青木晃先生に、「サプリの正しい知識と続け方」について詳しく伺いました。薬との違いや選び方、効果的な摂り方まで、これからのインナーケアに役立つ情報を分かりやすくお届けします。

🎥 ウェビナーでの詳しい内容は、こちらの動画でご覧いただけます

https://youtu.be/z-noGKDhNaE

サプリと薬の違いとは?

まず多くの方が疑問に感じているのが、「サプリと薬はどう違うの?」という点です。

青木先生は、これをとても分かりやすい例で説明してくださいました。

「薬は“消防車”のようなもの。火事(=病気)が起きたときに一気に消し止める役割を果たします。一方で、サプリは“日々のお掃除やメンテナンス”。火事を起こさないように、日常的に体を整える役割なんです。」

つまり、サプリは“病気を治す”のではなく、“病気にならないよう体を支える”もの。あくまで健康の維持や予防を目的としているため、薬のような即効性はありません。その代わり、継続することでじわじわと体に良い変化をもたらしてくれるのです。

また、近年では美容やダイエット目的で医療機関から処方される薬もあり、「サプリ代わりに薬を飲んでいる」という方もいるかもしれません。しかし青木先生は、それには注意が必要だと話します。

「薬は長期使用によって副作用が出ることもありますし、肝臓や腎臓への負担もあります。目的も設計もサプリとは違いますから、安易に薬をサプリ代わりに使うのは避けるべきです。」

見た目や感覚で“似ているように見える”サプリと薬ですが、その性質や目的はまったく別物。違いをきちんと理解したうえで使い分けることが大切です。

サプリはどのくらい続ければ効果が出るの?

「サプリってどのくらい飲み続ければいいの?」「すぐに効かないなら意味がないのでは?」という声も多く聞かれます。

これについても、青木先生は日常生活にたとえて教えてくださいました。

「サプリは飲んだ翌日に劇的な変化が出るものではありません。お部屋の掃除のように、毎日少しずつ積み重ねて“気づいたら部屋がきれいになっている”という感覚です。」

つまり、サプリは“健康の貯金”。体に必要な栄養素を日々少しずつ補っていくことで、やがて体調の変化を実感できるようになるのです。

目安としては数週間から数ヶ月で変化を感じる方が多く、青木先生は「1ヶ月ごとに見直す」ことを推奨しています。

「続ける中で、“疲れにくくなった”“朝起きやすくなった”など、自分なりの変化を感じられるかが大事です。」

サプリを“飲むこと”が目的になるのではなく、自分の体調を見つめながら続けることが成功のカギとなります。

食事だけでは本当に足りないの?

「栄養は食事から摂るのが一番」とよく言われますし、「バランスよく食べていればサプリはいらないのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。

確かに、理想は毎日の食事で必要な栄養をきちんと摂ること。しかし現実は、なかなかそううまくいきません。

「現代の食生活では、必要な栄養素を食事だけで完璧に摂るのは難しいです。特にビタミンD、マグネシウム、鉄などは、不足しやすい代表格です。」

さらに、50代以降になると栄養の“吸収力”自体が低下するという問題もあります。

つまり「食べているのに吸収されにくい」状態になりやすいため、サプリで補完することには十分な意義があります。

※例えばビタミンDは、食事からの摂取だけでなく、日光に当たることで合成されますが、外出が少ない生活では不足しやすくなると言われています。

サプリの選び方と併用の注意点

サプリを選ぶとき、つい気になるのが“価格”や“口コミ評価”。でも、実はそれだけでは不十分です。

青木先生が最も重視しているのは、「有効量」と「体感」。

「大切なのは、ちゃんと効果が期待できる量が入っているかどうか。名前だけあっても、量が少なければ意味がありません。」

また、どんなに評判の良いサプリでも、「自分の体に合うか」は別問題です。

「実際に飲んでみて、“疲れにくい”“肌の調子がいい”など、自分の体の声を聞いて判断することが必要です。」

複数のサプリを併用しても基本的には問題ありませんが、成分が重複して過剰摂取にならないよう注意が必要です。気になる方は医師や薬剤師に相談するのも安心です。

まとめ|サプリは「健康の貯金」。自分の体に合わせて、正しく付き合う

サプリは、薬のように即効性のある“治療”の道具ではなく、毎日の健康を支える“生活のパートナー”です。

  • サプリは「消防車」ではなく「日々のお掃除」
  • 続けることで“健康の貯金”ができる
  • 食事だけで栄養を満たすのは難しく、特に年齢とともに吸収力も低下する
  • 選ぶときは「有効量」と「体感」がポイント

そして何より、「自分にとって必要なものを、無理なく続けられる形で取り入れる」ことが、健康寿命をのばす第一歩です。

40代・50代は、体の声に耳を傾けながら、これからの自分をいたわる時間を持つことが大切です。サプリはそのサポート役として、きっと力になってくれるはずです。