更年期世代の便秘・肌荒れ・免疫低下の原因は腸?|乳酸菌と腸活の新常識
目次
「最近、なんとなく体調がすぐれない」「便秘や肌荒れがなかなか改善しない」「風邪をひきやすくなった気がする」──そんなお悩みを感じることはありませんか?それらの不調、実は“腸の状態”と深く関係しているかもしれません。
fuwariでは11月14日(イイトシ)の「アンチエイジングの日」をきっかけに、日本美容内科学会理事長・青木晃先生に、50代女性の体に起こる変化の仕組みと、体の内側から整える「インナーケア」の大切さについて教えていただきました。
🎥 ウェビナーでの詳しい内容は、こちらの動画でご覧いただけます
50代前後になると、体調や肌の変化を感じる方が増えてきます。便秘がちになったり、風邪をひきやすくなったり、肌荒れが治りにくくなったり……。

こうした不調は一見するとバラバラな原因に見えますが、実は共通のカギを握っているのが「腸のコンディション」なのだと、青木先生は語ります。
「腸は“第二の脳”とも呼ばれるほど、体と心に深く関係する器官です。不調の多くが腸の乱れとつながっているんです。」
腸内環境が乱れることで、便秘や肌荒れだけでなく、免疫力の低下や気分の落ち込みまで引き起こされることもあるのだそう。つまり、腸は“見た目”や“気分”にも影響を与える、非常に重要な存在なのです。
私たちの腸内には、約100兆個以上の腸内細菌が存在しているといわれています。これらは「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれ、まるで花畑のように多様な菌たちがバランスを保ちながら共存しています。

しかし、更年期になると、このフローラのバランスが崩れやすくなるのです。
「加齢や食生活、ストレスが腸内環境を乱す要因となります。特に女性の場合は、更年期にエストロゲンという女性ホルモンが低下することで、腸内環境も大きく変化するんです。」
つまり、更年期に起こるホルモンバランスの変化と、腸内環境の乱れは密接に関係しているということ。腸は単に“消化”を担うだけでなく、ホルモンや免疫、自律神経ともつながっている、全身の健康の“要”なのです。
「乳酸菌をとる=ヨーグルトを食べる」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。でも実は、それだけでは腸活としては不十分なのだそうです。
「腸内環境を豊かに保つには、菌の“多様性”がとても大切なんです。1種類の乳酸菌だけをとっても、他の菌に負けてしまうことがあります。」
青木先生は、腸を「畑」にたとえてこう説明されました。
「実はそれでは不十分です。腸内環境を豊かにするには菌の多様性が大事。1種類の菌だけでは雑草に負けてしまうんです。いろんな菌を組み合わせることで畑全体が豊かになり、強い土壌ができます。」
このように、善玉菌の“単品摂取”ではなく、多様な菌をバランスよく取り入れることが腸を育てる鍵になるのです。
そこで注目されているのが、「シンバイオティクス」という新しいアプローチです。これは以下の3つを組み合わせた考え方です。

「腸は“畑”、菌は“植物”、プレバイオティクスは“肥料”。それぞれが組み合わさって、豊かな腸内環境という“土壌”が育つのです。」
このように、多様な菌とそのエサ、さらに菌が作る成分までを意識してとることが、これからの腸活のスタンダードになっていくのです。
では、実際にどのようなことを意識すれば、腸を元気に保つことができるのでしょうか?
青木先生がまず挙げるのは、「食事」の見直しです。

納豆、ヨーグルト、漬物などの発酵食品は、プロバイオティクス(善玉菌)を含む身近な食材。また、野菜や海藻、きのこ類に含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、菌を元気に育ててくれます。
加齢により菌の種類や数が減ってくると、食事だけでは補いきれないこともあります。そこでサプリメントが役立つのです。
「サプリは畑にまく肥料のようなもの。痩せた土壌=乱れた腸をふかふかにして、栄養が行き渡りやすい状態に整えてくれます。」
特に意識したいのは、1種類ではなく複数の菌を摂ること。多様な菌を取り入れることで、腸内フローラ全体のバランスが整いやすくなります。
便秘、肌荒れ、免疫力の低下――。これらの不調は「年齢のせい」とあきらめてしまいがちですが、実は腸を整えることで、改善の糸口が見えてくるかもしれません。

「腸は全身の健康の要。食事とサプリを上手に組み合わせて、腸を若々しく保つことが、健やかな更年期を過ごすための土台になります。」
今や“乳酸菌をとるだけ”の時代から、“多様な菌を育てる”腸活の時代へ。体の内側から調子を整える新しい一歩として、今日から「腸」に目を向けてみませんか?
次回は、「サプリって本当に必要?」という素朴な疑問に対して、医師の視点から詳しく解説していきます。どうぞお楽しみに。