更年期の肩こり・腰痛は女性ホルモンのせい?原因と簡単ストレッチ法を解説

2025.12.17

40代・50代・60代の女性に多く見られる肩こりや腰痛の原因は、加齢だけでなく、更年期に起こる女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変化や自律神経の乱れが影響している可能性があります。この記事では、医学的に正しい知識をもとに、ホルモンバランスと不調の関係をわかりやすく解説。自宅でできる簡単ストレッチや生活習慣の見直し方法もご紹介しています。慢性的な不調に悩む方に、今すぐ始められるセルフケアのヒントをお届けします。

はじめに

「最近、肩こりや腰痛がひどくなってきた…」「昔はこんなに疲れなかったのに」
40代〜60代の女性の中には、そんな身体の変化を感じ始めている方が少なくありません。年齢とともに筋力が落ちているのかな…と感じる一方で、原因がよくわからず、ただ我慢して過ごしているという声も多く聞かれます。

実はこのような不調には、“女性ホルモンの変化”が大きく関係している可能性があります。特に更年期に差しかかる年代は、ホルモンバランスの変化が心身にさまざまな影響を及ぼしやすくなる時期。肩こりや腰痛もそのサインのひとつなのです。

この記事では、更年期世代の女性に多い肩こり・腰痛の原因を医学的な視点からやさしく解説し、日常生活に取り入れやすい簡単なストレッチ法をご紹介します。「不調は年齢のせい」と諦めず、自分に合ったケアで、毎日をもっと快適に過ごしていきましょう。

更年期に肩こり・腰痛が増えるのはなぜ?

女性ホルモン「エストロゲン」と筋肉・関節の関係

女性ホルモンの中でも「エストロゲン」は、月経や妊娠などの女性特有の機能に関係するだけでなく、血管、骨、筋肉、皮膚、脳、自律神経といった、全身のさまざまな機能に影響を与えています。

しかしこのエストロゲンは、40代後半から50代にかけて急激に分泌量が減少していきます。これは自然な加齢現象のひとつですが、その変化が急激なため、身体がその変化に追いつけず、不調が表面化しやすくなります。

エストロゲンの減少により筋肉や関節の柔軟性が低下し、特に肩や背中、腰回りの筋肉が硬くなりやすくなるため、肩こりや腰痛といった症状が出やすくなるのです。
また、エストロゲンは血流の流れをスムーズに保つ役割も果たしていますが、これが低下すると筋肉に十分な酸素や栄養が届かず、疲労物質が溜まりやすくなり、慢性的なコリや痛みにつながってしまいます。

自律神経の乱れも肩こり・腰痛の隠れた原因

更年期に起きるホルモンバランスの変化は、自律神経にも影響を及ぼします。自律神経は、呼吸や体温調整、血圧などを無意識のうちにコントロールしている神経で、「交感神経」と「副交感神経」のバランスで成り立っています。

エストロゲンが減るとこのバランスが崩れやすくなり、交感神経が過剰に優位になることで、筋肉が緊張しやすくなります。これが慢性的な肩こりや腰痛の原因となることもあります。

さらに、ストレスや睡眠不足、忙しさなどの生活環境も加わることで、体の緊張が抜けにくくなり、痛みやこりが改善しにくい「悪循環」に陥ってしまうのです。

実は多い!更年期の「肩こり」「腰痛」の実態

データで見る40〜60代女性の身体の悩み

厚生労働省の「国民生活基礎調査(2022年)」では、40代〜60代女性が抱える身体の不調の中で、「肩こり」や「腰痛」は常に上位に挙がっています。

  • 50代女性の約6割以上が「肩こりあり」と回答
  • 40〜60代女性の約4割前後が「腰痛あり」と回答

これは加齢による筋肉量の減少や関節の硬さだけでなく、ホルモンの変化や生活習慣によっても影響を受けていると考えられます。

病気ではないけれど、つらい「未病」状態

これらの症状の多くは、「病院に行くほどではないけどつらい」「検査では異常が出ない」という、“未病(みびょう)”と呼ばれる状態です。
未病は、そのまま放置してしまうと慢性化や悪化のリスクがあるため、早めにセルフケアを始めることが大切です。
日常のストレッチや生活習慣の見直しが、こうした未病の改善に非常に有効であることが多くの研究でも示されています。

今すぐできる!更年期世代におすすめのストレッチ法

ここでは、肩こりや腰痛の改善に効果が期待できる、1日5分から始められる簡単ストレッチを3つご紹介します。忙しい日々の中でも無理なく取り入れられる内容ですので、ぜひ今日から試してみてください。

1. 肩甲骨ほぐしストレッチ【肩こり対策に】

やり方

  1. 両手を肩に軽く乗せ、肘を前から後ろへ大きく回します(10回)
  2. 次に、後ろから前へと反対に回します(10回)
  3. 呼吸を止めず、リラックスした状態で行いましょう

効果
肩甲骨周辺の筋肉を動かすことで、肩の血流が良くなり、緊張がほぐれます。デスクワークの合間や家事のすき間時間にもおすすめです。

2. 猫のポーズストレッチ(キャット&カウ)【腰痛対策に】

やり方

  1. 四つん這いになり、背中はまっすぐに保ちます
  2. 息を吐きながら背中を丸めて、視線はおへそへ(猫のポーズ)
  3. 息を吸いながら背中を反らし、視線は天井へ(牛のポーズ)
  4. この動きを5〜10回、ゆっくりと繰り返します

効果
背骨まわりの筋肉や腰部をやさしく刺激し、柔軟性を保つのに役立ちます。朝起きたときや、就寝前のリラックスタイムにおすすめです。

3. 前屈+深呼吸ストレッチ【自律神経を整える】

やり方

  1. 足を肩幅に開いて立ち、腕を大きく上に伸ばす
  2. 息を吐きながら、ゆっくり前屈していく
  3. 気持ちよく伸びるところで10秒キープ
  4. 息を吸いながらゆっくり元に戻す(3回繰り返す)

効果
呼吸を深めることで副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできます。ストレッチと呼吸をセットにすることで、肩や腰の緊張も自然と緩みやすくなります。

生活習慣の見直しも大切です

ストレッチと並行して、以下のような日常生活のちょっとした見直しも、肩こり・腰痛の予防と改善につながります。

体を冷やさない工夫を

冷えは血流を悪くし、筋肉の緊張を強める原因になります。冬はもちろん、夏の冷房対策としても、腹巻きやストール、レッグウォーマーなどで冷えを防ぎましょう。

タンパク質をしっかりと摂取

筋肉の材料となるタンパク質が不足すると、筋力低下を招き、姿勢が崩れて肩や腰への負担が増します。卵、豆腐、納豆、鶏肉、魚などを意識的に摂ることが大切です。

睡眠の質を高める習慣を

寝る前にスマートフォンを見ない、照明を暗くする、ハーブティーを飲むなど、自分なりの「入眠儀式」を作ることで、リラックスして深い睡眠がとれるようになります。

自分をいたわる習慣が、未来の健康をつくる

更年期は、体も心も揺らぎやすい時期。肩こりや腰痛といった症状も、その変化の一環であることを理解し、やさしくケアしていくことがとても大切です。

「最近疲れやすいな」「マッサージに行ってもすぐ戻るな」と感じたときは、体からのサインかもしれません。ストレッチや生活習慣の見直しは、特別な道具もお金もいらず、すぐに始められる“セルフケアの第一歩”です。

毎日少しずつ、自分の体に向き合う時間を作ることが、今後の健康と心地よい毎日につながっていきます。
fuwariは、そんな“ゆらぎ世代”の女性たちに、信頼できる情報とやさしいケアをこれからもお届けしていきます。